映画『Red』の濡れ場が映す性と社会──揺れる視線の行方

ニュース解説：『Red』が描いた“容赦ない濡れ場”の意味

夏帆さん主演の映画『Red』が公開された当時、SNSでは「泣いた」「怖かった」「何を見せられたのか分からない」といった感想が飛び交いました。話題の中心となったのは、物語中盤に描かれる“濡れ場”──それは、従来の邦画では避けられがちだった、女性視点による性描写でした。

この濡れ場は、単なる刺激的な演出ではありません。むしろ、主人公が抑圧された日常から一歩踏み出す“解放”の象徴として、物語の転換点を担っています。静かで、激しくて、そしてどこか切ない。観客はその一部始終を見せられることで、彼女の内面に深く触れることになるのです。

『Red』は、性表現に対する日本映画界のタブー、そして長らく語られてこなかった「女性の欲望」や「主体性」というテーマに、真正面から切り込んだ作品です。濡れ場を通して描かれるのは、単なる性愛ではなく、“生きる感覚”そのもの。この映画が投げかけた問いは、スクリーンの外にいる私たちにも静かに届いているのかもしれません。

ネットの反応：革新か不快か、揺れる視聴者の声

『Red』の濡れ場をめぐって、SNSではさまざまな声が飛び交いました。中でも目立ったのは、夏帆の演技力に対する称賛と、女性の欲望を真正面から描いた新鮮さへの驚き。「こんな表現、今までなかった」「静かな情熱に心を揺さぶられた」といったコメントが並び、映画の挑戦的な演出を肯定的に受け止める人も少なくありませんでした。

一方で、「過激すぎてついていけない」「不快だった」「芸術なのか露骨なのか分からない」といった否定的な反応も根強く存在します。濡れ場の“見せ方”に戸惑いを覚えた視聴者も多く、性表現の境界線について議論が巻き起こるきっかけとなりました。

こうした賛否両論は、単なる好みの違いではなく、日本社会における性表現の受容度や、ジェンダー観の変化を映し出す鏡とも言えます。誰が、どういう視点で“性”を描くのか──その問いが、スクリーンの外でも静かに広がっているのです。

もしも：『Red』が高校の授業で使われたら？

ある高校の現代社会の授業で、先生がふとこう言います。「今日は映画『Red』を観て、性と社会について考えてみよう」。生徒たちはざわつきます。え、濡れ場のある映画を授業で？──最初は戸惑いながらも、スクリーンに映し出された主人公の静かな葛藤と、容赦ない濡れ場に目を奪われていきます。

授業後、教室では思いがけない対話が始まります。「性って、隠すものなの？」「なんで女性の欲望って語られないんだろう？」。生徒たちは、性表現のタブーやジェンダーの固定観念について、真剣に語り合い始めます。やがてその熱は文化祭企画にまで発展──“性と表現”をテーマにした展示や演劇が立ち上がり、保護者や地域の人々も巻き込んだ議論の場が生まれるのです。

こんな展開が現実になったら、ちょっと感動的ですよね。“濡れ場”が社会を変えるきっかけになるなんて、誰が想像したでしょう。でも、映画にはそんな力がある。問いを投げかけ、沈黙を破り、対話を生む──それこそが、表現の持つ本当の意味なのかもしれません。

ふもとあさとの読むラジオ

あさと

いや〜、濃かったですね。映画『Red』の濡れ場、あれが“社会を映す鏡”になるとは。

琳琳ちゃん、どうだった？あの解説。

琳琳

はい、すごく考えさせられました。特に、SNSでの反応が真っ二つに分かれたっていうところ。

「泣いた」「怖かった」「不快だった」──同じシーンでも、受け止め方がこんなに違うんですね。

あさと

そうそう。昔は濡れ場って“男のための見せ場”って感じだったけど、今は違う。

女性の視点で描かれると、こんなにも空気が変わるんだなって、改めて感じましたよ。

琳琳

実際、夏帆さんの演技に「魂を揺さぶられた」っていう声も多かったですし、

“欲望”を描くことが、こんなにも繊細で力強いっていうのは、ちょっと感動的でした。

あさと

うん。でも一方で、「授業で見せるなんてとんでもない！」っていう声もあるかもしれない。

……ロン、どう思う？もし高校の授業で『Red』を使ったら。

ロン

ワン！ご指名ありがとうございます、ふもとさん。

もし授業で使われたら──それは、教育の“進化”ですね。

性を隠すのではなく、考える材料として扱うことで、若い世代の価値観が広がります。

実際、海外では性教育に映画を使う事例もありますし、日本でも可能性はあると思います。

あさと

なるほどねぇ。ロンはいつも冷静で頼りになるな。

琳琳ちゃん、もし文化祭で“濡れ場と社会”をテーマにした展示があったら、行ってみたい？

琳琳

……正直、ちょっとドキドキしますけど（笑）、行きます！

だって、性って誰にとっても身近なテーマですし、

それを真面目に、でも柔らかく話せる場があるって、すごく大事だと思うんです。

あさと

そうだね。“濡れ場”って言葉にドキッとするけど、

その奥にある“生きる感覚”や“心の揺れ”を描くことこそ、映画の力なんだよなぁ。

ロン

ちなみに、濡れ場という言葉は江戸時代の歌舞伎にもルーツがあるんですよ。

“濡れる＝情が移る”という意味から来ているんです。

つまり、濡れ場とは“心が動く場面”でもあるんです。

あさと

おお〜、さすがロン！雑学まで完璧だ。

じゃあこのあとも、映画と社会の“ちょっと深い話”、続けていきましょうか。

琳琳

はい、次は「性表現とメディアの境界線」について、リスナーの声も交えてご紹介します！